取引先から承諾を得られなかったり、なかなか受注できなくて悩まれていませんか?
そんな営業マンのために、交渉をスムーズに進めるための心理テクニック「フット・イン・ザ・ドア」をご紹介します。
フット・イン・ザ・ドアとは、「小さな要求から承諾してもらい、徐々に大きな要求も承諾してもらう」手法のことです。
それでは、フット・イン・ザ・ドアについて詳しく見ていきましょう。
この記事で分かること
- フット・イン・ザ・ドアとは何か
- フット・イン・ザ・ドアの使い方
- フット・イン・ザ・ドアの事例
ビジネス営業で活用できるフット・イン・ザ・ドアとは?

前述したようにフット・イン・ザ・ドアとは、「小さな要求を承諾してもらうことで、次の要求も承諾されやすくなる心理を利用した手法」です。
「営業マンがドアを閉められる前に足を中に入れることができれば勝ち」という描写が名称の由来となっています。
日本語では「段階的要請法」とも呼ばれているようです。
フット・イン・ザ・ドアの使い方
フット・イン・ザ・ドアを使う場合に意識することは「小さな要求から大きな要求につなげること」です。
流れとしては以下のようになります。
フット・イン・ザ・ドアの流れ
- 最初に相手が承諾しやすい小さな要求
- 承諾してもらいたい大きな要求
本当に承諾してもらいたいことを最初に要求するのではなく、まずは相手が承諾しやすい小さな要求からしていくことが重要です!
フット・イン・ザ・ドアを証明した面白い実験
フット・イン・ザ・ドアの心理テクニックを証明した面白い実験があります。
スタンフォード大学の社会学者であるスコット・フレーザー氏とジョナサン・フリードマン氏が行った実験です。
【実験内容】
住宅を訪問して、「安全運転をしよう」という看板を庭に設置してもらうよう依頼します。
看板は汚い字で書かれており、家の外観を崩すような看板です。
依頼方法を以下のA、B、Cの3パターンで行った場合、それぞれの承諾率に違いが出るのかどうかを実験した。
A:いきなり看板の設置を依頼する
B:「カリフォルニア州を美しく保つ」という文章に署名してもらい、その2週間後に看板の設置を依頼する
C:「安全運転」という小さなシールを車に貼らせてもらい、その2週間後に看板の設置を依頼する
【結果】
A:承諾率17%
B:承諾率47%
C:承諾率76%
いきなり看板の設置を依頼するAよりも、最初に小さな要求を依頼するB、Cの方が承諾率が高くなりました。
特にCの承諾率が高く、小さな要求と大きな要求の関連性が高ければ高いほど承諾率が上がることが分かります。
最初に小さな要求を承諾してもらうことで、大きな要求(今回の実験の場合は、看板の設置)を承諾してもらいやすくなることが証明された面白い実験ですね。
フット・イン・ザ・ドアが有効な理由は、一貫性の原理によるもの
フット・イン・ザ・ドアが有効な理由は、「一貫性の原理」という人間が持つ心理が働くからなんです。
人は自身の行動、発言、態度、信念などに対して一貫したものとしたいという心理が働く。
引用:wikipedia
一度承諾をすると、その行動や発言を一貫させようと、一貫性の原理が働きます。
結果、フット・イン・ザ・ドアによって最初に小さな要求を承諾すると、その後の大きな要求も承諾してしまいやすくなるのです。
また小さな要求が大きな要求と関連性が高ければ、一貫性の原理が強く働き、さらに承諾しやすくなります。
フット・イン・ザ・ドアの活用事例
フット・イン・ザ・ドアは、あらゆるところで活用されています。
フット・イン・ザ・ドアがどのように使われているのか? を見ていきましょう。
テレアポ(電話営業)
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テレアポ(営業電話)をする際は、最初に「5分だけお時間いただけないでしょうか?」と言って、承諾してもらいます。
承諾後、話に興味を持ってもらえれば5分以上話すことができますし、さらに契約まで至るかもしれません。
訪問販売

いきなり売り込むのではなく、最初はテレアポ同様に「5分だけお時間いただけないでしょうか? お話を聞いていただくだけで構いません。」と言って、承諾してもらいます。
その後、無料キャンペーンの提示、定期購入の提示と進めると、承諾してもらいやすくなります。
アパレルショップ

最初に「その服、試着されますか?」や「サイズお持ちしましょうか?」のような小さな提案をします。
決して、いきなり「購入されますか?」と聞いてはいけません。
試着などの提案は、服の購入と関連性が高いため、その後の購入提案の承諾率が上がりやすくなります。
フット・イン・ザ・ドアとドア・イン・ザ・フェイスの違い

フット・イン・ザ・ドアと似た心理テクニックとして「ドア・イン・ザ・フェイス」があります。
両テクニックの違いを簡潔にお伝えすると「最初に小さな要求を承諾させるか、最初に大きな要求を断らせるかの違い」です。
- フット・イン・ザ・ドア :小さな要求の承諾→大きな要求を承諾
- ドア・イン・ザ・フェイス:大きな要求の拒否→小さな要求の承諾
ドア・イン・ザ・フェイスついて詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
まとめ
- フット・イン・ザ・ドアは「小さな要求を繰り返して、大きな要求を承諾してもらうテクニック」
- フット・イン・ザ・ドアはビジネス営業に役立つ、強力なテクニック
- フット・イン・ザ・ドアが有効な理由は、一貫性の原理が働くから

商談が上手くいかなくて悩まれている営業マンの方は、ぜひフット・イン・ザ・ドアを使ってみてください!
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